海外移住前に必要な税務手続きを知っておこう
海外移住の際に気になるものの一つに「税金」「税務関係」があるのではないでしょうか?
中でも「確定申告をすべきか」や「確定申告をどうすべきか」でお悩みの海外赴任者をはじめとする海外在住者もいるはず。
そこで今回は海外在住者の確定申告についてチェックしてみましょう。
海外在住者は日本で確定申告すべき?
まず押さえておきたいことが、海外勤務等で長期間日本を離れると「居住者」ではなく「非居住者」となることです。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
<引用:国税庁>
本来非居住者は基本的には日本の課税対象にならないため確定申告が不要ですが、非居住者に対する課税の範囲は「国内源泉所得に限る」とされており、非居住者であっても国内源泉所得に該当するものは課税対象となります。
国内源泉所得の例は以下の通りです。
「国内源泉所得」には次のようなものがあります。
(1) 国内において行う事業又は国内にある資産の運用・保有若しくは譲渡により生ずる所得
(2) 国内において組合契約等に基づいて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの(中略)
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
<引用:国税庁 国内源泉所得の範囲(平成28年分以前)>
※平成29年分以後の所得税は、非居住者又は外国法人に対する課税原則が帰属主義に見直されたことに伴って、恒久的施設に帰せられる所得が国内源泉所得の1つとなるなど所要の改正が行われたそうです。
国内源泉所得に対する具体的な課税方法は、
- 国内源泉所得の種類
- 恒久的施設(国内に支店や事業所などをはじめとする)
などによって異なってきます。
個人によって状況は違うため、税理士さんなどに相談して確定申告が必要かどうかしっかり確認しておきたいですね。
海外在住者が日本で確定申告する方法とは
非居住者である海外在住者が日本の確定申告をする方法もチェックしておいましょう。
結論としては、以下2つの方法があるでしょう。
- 日本に帰国して自分で直接確定申告をする
- 納税管理人を選定して確定申告をしてもらう
ご自身で帰国して確定申告できればいいのですが、日本になかなか帰れないという方もいらっしゃいますよね。
そのような方は、非居住者の代わりに確定申告や税金の納付などを行う納税管理人を選定し、確定申告をしてもらいましょう。
このような場合には、非居住者の確定申告書の提出、税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取り等、納税義務を果たすために納税管理人を定める必要があります。
納税管理人を定めたときには、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は、納税管理人あてに送付されますが、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します。
なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。
<引用:国税庁>
税理士への相談も検討してみよう
海外赴任や海外移住が決まってその準備で忙しい中、税金や確定申告について調べて用意するのはきっと想像以上に大変でしょう。
専門知識や複雑な手続きが必要になったり、個人の状況によって確定申告の必要・不要が違ったり、必要となる手続きや書類なども異なってくるため、不安な方は海外赴任・海外移住が決まったらまずは一度税理士さんへ相談してみると安心でしょう。
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